ホーム > 防災対策
防災への取り組み
鹿児島県北西部地震
写真は、平成9年の県北西部地震直後の宮之城観月台団地です。当社が施工した物件は、被害を最小限に抑え、お客様の大切な住まいを地震から守ることができました。
なぜ当社の瓦だけ、被害が少なかったのか?
震災後、鹿児島大学の研究者と宮之城土木事務所の参事が当社を訪問し「なぜ当社の瓦だけ被害が少なかったのか」確認調査を行いました。被害を最小限に抑えられた理由は、当社が早くから手掛けてきた「防災瓦」「防災工法」。当時、防災対策に取り組んでいた業者は少なく、安さ重視の傾向が強まっていましたが、震災を機に見直され、当社の工法を参考に改修工事が行われました。
災害に強い理由
1.瓦をしっかりと固定する
2枚の瓦を同時に固定
瓦の留め付けには、国土交通省技術評価の「スルーホール工法」を採用しています。
上下の瓦の重なり部分を1本のビスで固定。通常の釘留めよりも耐風耐震性に優れた、瓦をしっかりと固定する特許技術です。
水が流れない瓦山部に留付位置を設け、パッキン付ビスを使用。瓦の上からビス留めしても、雨漏りの心配はありません。
スルーホール工法は、(株)コトガワの特許です(日本国特許 第3532990号)
対応製品:ユーロベスト、ユーロベストS-30、石娘S-24
通常の釘留めだと...
差し替え後は釘留めできないため、差し替え前よりも強度が低下してしまいます。
スルーホール工法なら!
差し替え瓦を上からビスで固定。差し替え前とほぼ同等の強度を維持できます。
技術の裏付け
建設技術評価規定に基づき評価が行われ、建設大臣に性能を認められた工法です。
風速 87m/s に耐える瓦!
スルーホール工法で固定したユーロベストの耐風性能は、脅威の 9800N/㎡ 以上。基準値の2倍以上で、国内の屋根材の中でも傑出した値です。
建築基準法に基づく構造計算の結果、標準的な平屋住宅では、風速 87m/s に対し、構造耐力上安全であることが確められています。
すなわち「国内で最も強い最大瞬間風速 85.3m/s に対して、理論上安全」という
ことになります(建物高さ6m、軒高3.5m、屋根勾配4.5寸の場合)。
大型台風による被害ゼロ!
驚異の耐風性能を持つユーロベストシリーズは、与論島や徳之島など台風の被害を受けやすい離島でも採用いただいています。
平成24・25年に大型台風(最大瞬間風速57.1m/s)が与論島を直撃し、甚大な被害をもたらしましたが、与論島の県営住宅(ユーロベストS-30、スルーホール工法)の被害は全く無く、高い評価と期待をいただいています。
2.水を前へ飛ばす
段差で水を飛ばす
従来の瓦で問題となっている「逆漏り」現象。勾配の緩い屋根の場合、強風時に雨漏りを引き起こします。
ユーロベストは、瓦の先端に「エジェクター機能」を設けてあるため、水を前方へ飛ばし、浸入を阻止します。
そのため、1寸勾配(約5.4°)屋根にも施工可能。水だけでなくゴミや火山灰などの侵入も阻止します。
エジェクター機能は、(株)コトガワの特許です(日本国特許 第2542205号)
対応製品:ユーロベスト、ユーロベストS-30
エジェクター「なし」
水の巻き込みにより逆もりを起こし、水が内部へ漏水します。
エジェクター「あり」
エジェクター機能が水を前方へ飛ばし、水の侵入を阻止します。
防水性能試験
水の流れがひと目でわかる、防水性能試験の様子をご覧ください(株式会社コトガワ)。
緩勾配屋根でも、瓦を諦めなくて良いんです!
ユーロベストシリーズは、エジェクター機能のおかげで、瓦では不可能とされていた1寸勾配屋根にも施工することができます。ユーロベストシリーズなら、勾配がほとんど無く瓦の設置を諦めていた屋根にも、施工することができます。
3.瓦を強固に結合する
瓦同士をがっちりロック
当社の和瓦は、右下の防災のツメで全ての瓦を強固に連鎖結合する「スクラム新構造」を備えています。
地震や台風に強く、県北西部地震や大型台風では、ユーロベストと共に被害を最小限に抑えることができました。
防災機能は、瓦の表面に現れない部分に組み込まれているため、和瓦の特徴である、やわらかな曲線の美しさを損ないません。
スクラム新構造(日本国特許 第1517374号)
対応製品:HITTO-BAN、HITTO-BAN S-49
防災機能「なし」
強風時の瓦の浮き上がりや、県北西部地震での瓦のズレ・落下などの被害が相次ぎました。
防災機能「あり」
スクラム新構造で、災害時の瓦の浮き上がりやズレを最小限に抑えることができました。
抜群の耐風性能
建築基準法に基づく試験で 6979N/㎡ を記録。他の和瓦よりも耐風性能に優れています。
4.水の横走りをストップ
水を軒先へ誘導
若い世代に人気の平板瓦。表面の凹凸が少ないため、強風時に水の横走りによる雨漏りが起きやすいという欠点があります。
石娘S-24は、表面に3か所の「ウォーターライン」を設けてあるため、平板瓦の欠点である水の横走りをストップします。
立体構造により瓦裏面の通気性も向上させてあるため、結露が発生しにくく、家屋への負担軽減も期待できます。
対応製品:石娘S-24
通常の平板瓦だと...
強風雨時にケラバ部の隙間から雨水が浸入し、雨漏りが起こったケースもあります。
石娘S-24なら!
表面の凹凸で水の横走りをストップ。ケラバ部からの雨水の浸入を防ぎます。
スルーホール工法に対応
石娘S-24は、耐風性能に優れたスルーホール工法にも対応しています。
5.災害に強い棟構造
地震の力を逃がす
当社の棟構造は、地震の力を逃がす工夫が施されているため、棟部への影響を軽減。強風に強く、耐久性にも優れています。
先端技術による棟部土台の軽量化や耐風耐震補強金具の使用など様々な防災棟対策にも取り組んでいます。
対応製品:当社生産品、陶器瓦、いぶし瓦など
HITTO-BAN
全瓦連推奨の耐震・耐風性に優れた「ガイドライン工法」に準拠して施工します。
ユーロベスト
面戸のし瓦と7寸丸瓦の2段積。棟の段数を減らし、軽量化による減震効果を高めます。
石娘S-24
棟部を極限まで簡素化し、棟の軽量化を図るとともに、耐震性と耐風性を向上しました。
最も影響を受けやすい棟部
従来の施工では、地震や強風時に棟瓦が落下しやすいという欠点がありました。
例えば、大まわし施工では、棟瓦がのし瓦用土盛りの付着力だけで定着しているため、土盛りが崩れ落下しやすい。心しばり施工では、地震や強風時に棟瓦が受ける力が釘の一点に集中し、棟瓦が崩壊しやすい、など。
金具を用いて鉄筋を棟部に固定する方法もありますが、金具を固定する強度が弱く金具が離脱するなどの問題もありました。
少しでも良いものを
当社が取り組んでいる防災対策を、ほんの一部ですが紹介させていただきました。技術的なノウハウや内部の詳細は、ここでは紹介できませんが、他にもたくさんの防災対策に取り組んでいます。
材料に関しても、その一つ一つを、お客様の住まいを第一に考え選んだものを使用しています。厳選した瓦と材料を使用し、屋根を熟知した経験豊富な職人が施工に携わります。お客様の住まいを災害から守るため、製品・材料・施工の全てにこだわっています。