石綿問題

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石綿の問題点

飛散しやすい

石綿繊維は、髪の毛の約 1/5000 程度と極めて細かいため、浮遊しやすく吸入されやすい特徴があります。束状になった石綿繊維に外力が加わりバラバラになると、石綿繊維は簡単に飛散してしまいます。

クリソタイル(白石綿)の原石
電子顕微鏡で観測した石綿(直径0.02~0.08μm)

健康障害を引き起こす

石綿繊維を吸い込むと、肺に入り組織に刺さります。そして呼吸するたびに肺を刺激し、肺胞を突き抜けて胸膜に刺さります。体内に入った石綿繊維は排出されにくく、体内に蓄積し続けます。その後20~40年の潜伏期間を経て、石綿肺・肺がん・中皮腫などの健康障害を引き起こす恐れがあります。

風船状の肺胞(直径200~300μm)
石綿は白血球(マクロファージ)でも分解できません

石綿屋根材解体で問題発覚

国は、平成18年に石綿製品の製造・使用を全面的に禁止しましたが、現在も全国で500万棟以上の建物に石綿屋根材が使われています。石綿屋根材の解体では、1本の釘をバールで抜く際に2~3万本もの石綿が飛散します。そのまま解体すると、作業者だけでなく周辺住民の健康にも影響が出る恐れがあり、深刻な問題となっています。

石綿飛散の様子
釘穴に残った石綿
資料提供:アエモテック(株)、(株)コトガワ、石綿対策技術委員会

石綿屋根材の種類

平成18年までに使用された以下の製品には、石綿が入っている可能性があります。

住宅屋根用化粧スレート(コロニアル・フルベスト)
波型スレート
かわらU

解体に必要な対策

石綿屋根材の解体では、以下の対策が法律で義務付けられています:

1.防じんマスクの着用

防じんマスクは、粒子捕集効率が99.9%以上の国家検定規格のものを使用しなければなりません。(石綿則第14、44、45条)

2.石綿作業主任者の選任

石綿作業主任者は、労働者の指揮、保護具の使用等の監視を行わなければなりません。作業中は、常駐が原則とされています。(石綿則第19、20条)

3.石綿特別教育の修了

石綿屋根材を撤去する作業者はもちろん、作業場に立ち入る作業者も石綿特別教育を受講しなければなりません。(石綿則第27条)

4.立入禁止措置・看板設置

関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、作業場の外の目に付きやすい所に石綿則に基づく表示を行わなければなりません。(石綿則第6、7、15条)

5.足場・囲いの設置

石綿を外部に飛散させないため、周囲を防炎シート等で養生する必要があります。(安衛法第21条、安衛則第519条)

6.湿潤化

石綿飛散を防止するため、石綿屋根材に直接散水して湿潤な状態にしなければなりません。(石綿則第13条)

※同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りではありません
注 意(建災防指針)

作業場の外部に飛散させないために、作業場の周囲を防炎シート、防音シート又は防音パネル等で養生しておく。

周辺環境に悪影響を及ぼす恐れが高い場所では、建物等の最高部よりも若干高い位置まで養生することが望ましい。

(建災防、石綿粉じんへのばく露防止マニュアル、pp.99-100、2009)

湿潤化の問題点

湿潤化を行えば、石綿飛散を防ぐことができますか? 問題点なども教えてください。

三井化学(株)・山口県産業技術センターのデータから、散水しても飛散石綿を抑えられないことが明らか  になりました。

1.散水しても飛散

石綿屋根材に散水しても飛散石綿を抑えることはできません。水を撒いても、釘抜き時に作業者呼吸部位で基準値を超える石綿が発生します。

2.作業者の滑落の危険性

屋根上で水を撒くと、摩擦力は殆ど無くなるので非常に滑りやすく作業者の滑落の危険性があります。体重60kgの人が4寸勾配屋根に上がった場合

・乾燥時:摩擦力は16kg

・汚濁水で濡れた時:0.2kgまで低下

3.水分を吸収しにくい

散水しても屋根材の内部にはすぐには浸透しません。

・曝露試験:一日中雨に曝しても、0.5%しか回復しない

・浸漬試験:水に浸けて24時間経過しても、1%しか回復しない

4.住宅への漏水・再飛散

釘抜時に散水した水が、屋内に浸入する恐れがあります。

散水により流失した石綿は、雨樋・壁・敷地・排水部分に付着し、乾燥後に再飛散する恐れがあります。

注 意

カバールーフ工法の危険性

石綿屋根材を金属屋根等で覆う「カバールーフ工法」は、釘を打ち込む際に基準値を超える石綿が発生します。

一時的に覆い隠しても問題の先送りで、いずれ除去が必要です。次の改装時には乾燥が進み、危険性が増大します。

(石綿対策技術委員会、研究開発成果書、2007)

高圧洗浄の危険性

石綿屋根材を塗り替える際には「高圧洗浄」を行います。この時、基準値を超える飛散石綿が発生します。

さらに、洗浄水からも多数の石綿が観測されました。流失した石綿は、乾燥後に再飛散する恐れがあります。

(外山尚紀 他、産業衛生学会誌臨時増刊号、Vol.48、p.479、2006)

違法解体を見かけたら...

石綿屋根材の解体では、何も対策をしないまま危険な状態での解体が全国各地で見受けられます。

石綿屋根材の違法解体を見かけた場合は、絶対に近寄らずすぐに労働局または労働基準監督署にご連絡ください。

関連資料

・建設業労働災害防止協会「石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」

・石綿対策技術委員会「安全な石綿飛散防止工法開発 研究開発成果書」

・外山尚紀、名取雄司、仲尾豊樹「屋根用化粧スレートの高圧洗浄時の気中石綿濃度について」産衛誌

・広瀬弘忠「静かな時限爆弾 アスベスト災害」新曜社

・松田毅、竹宮惠子「石の綿 マンガで読むアスベスト問題」かもがわ出版

・宮本憲一、森永謙二、石原一彦「終わりなきアスベスト災害」岩波書店

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